6代目アコードには、アコードの歴史に残る大きなトピックが起こりました。それは、「Euro-R」の登場です。 NSX、インテグラ、シビックには、ピュアスポーツグレード「Type-R」がすでに設定されていました。また、欧州版のアコードにもType-Rが設定されていました。 しかし、日本国内向けモデルにはType-Rが設定されておらず、市場では国内向けモデルにもType-Rの設定が望まれていました。 その声を反映してか、2000年6月、ついに日本国内向けモデルにも「R」の名を冠する新グレード「Euro-R」が登場しました。 このEuro-Rは、欧州アコードType-Rをベースにさらにチューンを施したモデルと言えます。あえてType-Rを名乗らずにEuro-Rとしたのも、ホンダのアコードという車に対するこだわり(Type-Rとはひと味違うぞ)の表れのようです。 また、ホンダ社内での「Type-Rの定義」みたいな思想が、国内と欧州とで相違があるようで、欧州アコードType-RをベースとしたEuro-Rは、Type-Rを名乗るわけにはいかなかったようです。 実際、Euro-Rの乗り味は欧州アコードType-Rに限りなく近いようで、例え欧州アコードType-Rをそのまま国内に持ってきたとしても、Type-Rとしては売らなかったでしょう。 よく勘違いされるのが、Euro-RはType-Rの廉価版みたいな考え。これは大きな間違い。Euro-Rは、快適性や上質感を損なうことなく、Type-Rと同等なチューニングを施して仕上げたモデルであり、むしろType-R+αがEuro-Rと言えるでしょう。 ベースグレードに対する強化点は、エンジン、サス、ボディ剛性など、多岐に及びます。装備面でもレカロシート、モモステ、5穴16インチアルミホイール、専用エアロパーツなど、「R」にふさわしい内容となっています。 Type-Rとの違いは、徹底した軽量化は行われていないこと。Type-Rの場合、遮音材を廃してでも軽量化を行っていますが、快適性が求められるEuro-Rにはそれはできません。 そのおかげもあり、ホンダの「R」を名乗りながらも静粛性にも優れているというホンダ車で唯一無二の存在となっています(ちなみに、アコードの兄弟車トルネオにもEuro-Rは設定されている)。 ベースグレード(SiR Euroパッケージ)から乗り換えた私が感じたEuro-Rの第一印象は、静かで乗り心地が良いこと。ロールを適度に抑えながらもSiRより乗り心地が良いんです。 スポーツタイヤを装備しているためロードノイズは若干大きいですが、その他の静粛性はSiRと同等以上なので、乗り心地が良くなっている分、SiRよりも上質と言えます。
そして、やはり一番の違いはエンジン。前のSiR EuroパッケージはATだったということもあるとは思いますが、動力性能はまるで別物です。文句なしに速いです。 これを遅いと感じる人は、そもそも2L前後のNA車など購入対象にすべきでないと思います。また、Euro-Rに搭載されるH22Aエンジンは低回転域からトルクがあり、非常に扱いやすいです。 普段街乗りでは2,000rpmも回っていれば十分で、ワインディングロードも普通に走る分には4速ホールドでも十分です。トップギアの5速でも1,500rpm以上回っていれば、上り坂も上れます。 このように、Euro-Rは普段の足としても十分使えますし、静粛性としなやかな足回り、適度な刺激もありますので、ロングツアラーとしても申し分ありません(刺激が全くないのは眠くなるので危険です)。 ワインディングロードでも楽しく気持ちよく走れますし、踏めば速いです。Euro-RにはMTしか設定がありませんが、MTであるが故に実燃費は前のSiRよりも良いです。そのMTもトルクのあるエンジンのおかげで非常に乗りやすく、さほど疲れることもないです。 Euro-Rは本当に良い車です。もはや他の車に乗り換える理由が見つかりません(笑)。 |